時代を読む-新聞を読んで●1997-2008●

2018/1/7 11:24 投稿者:  manager3

水島 朝穂  (著)
単行本: 304ページ
言語: 日本語
ISBN-10: 4806805920
ISBN-13: 978-4806805922
発売日: 2009/4/20

2800円+税

 

大学における私の講義は、冒頭の一〇分間、その週に起きた「事件」を一つとりあげて解説することから始まる。「頭のチョーク運転」にもなって、その後の講義をスムーズに展開するための工夫でもある。学生には、必ず新聞の切り抜きを持参するようにと言う。最近の学生はあまり新聞を講読せず、ネット情報中心になっているが、ともかく、一週間という単位で、内外の出来事を、問題意識をもって「切り抜く」癖をつけさせるわけである。NHKラジオでやってきたことは、それを三ヵ月単位にしたものである。バラバラに見える個々の出来事を通じて、二〇世紀末から二一世紀初頭にかけての一〇年間で、何が、どのように変わったのか、その一端が垣間見えてくるのではないか。

 

著者

水島 朝穂(みずしま あさほ)

早稲田大学法学学術院教授(法学部、大学院法学研究科担当)

法学博士。憲法学/法政策論。

1953年4月、東京生まれ。札幌学院大学助教授、広島大学助教授を経て、1996年より現職。

著書『現代軍事法制の研究』日本評論社、『憲法「私」論』小学館、『武力なき平和』岩波書店、『この国は「国連の戦争」に参加するのか』高文研、『同時代への直言』同ほか。編著『平和憲法の確保と新生』北海道大学出版会、『改憲論を診る』法律文化社、『新六法2009』三省堂ほか多数。共著『改憲は必要か』岩波新書、『長沼事件 平賀書簡』日本評論社、『日本国憲法の多角的検証』同ほか多数。

ホームページ「平和憲法のメッセージ」(http://www.asaho.com/)で毎週「直言」を更新中

NHKラジオ第一放送で、著者が語った「新聞を読んで」の12年間を全て収録。著者の鋭い眼と知性を通して、世紀末から現代の「世界と日本の動き」が活き活きと甦る。一週間の多数の新聞報道のなかから、直観で選んだ出来事を、ラジオを通して語った、立憲主義の基本的な考え方に照らして、日々生起する問題や事件を診ていく。「憲法診断」の試み。

 

目次

はじめに………………3  

1997年…………………………………………………………………………………………………11

▼ペルー日本大使公邸人質事件の強行突入/脳死を人の死とする法案/憲法施行50年目の憲法論議 14 ▼行革会議の省庁再編案/劣化ウラン弾問題/条例によるインターネット規制 19 ▼山一証券の経営破綻/外国人にも管理職への道/名護市住民投票を目前にして 25  

1998年…………………………………………………………………………………………………31

▼地下鉄サリン事件から3年/「周辺有事立法」と新輸送艦配備/サッカーくじ法案の可決34 ▼「ロス銃撃事件」、最高裁へ上告/少年法の改正を諮問/「今世紀最後」の参議院選挙 40  

1999年…………………………………………………………………………………………………47

▼老舗百貨店の閉店と所沢産野菜の暴落/ガイドライン関連法案と自治体/西暦2000年問題 50  

2000年…………………………………………………………………………………………………57

▼警察不祥事/「戦争決別宣言決議」の不思議/世紀末の総選挙へ 60 ▼人間の死をみつめる/55年目のヒロシマ・ナガサキ/日航機事故から15年/サミットリカちゃん 65 ▼参議院の惨状─「死に至る病」/少年法厳罰化を語る前に 70 ▼無罪から無期へ─ネパール人被告/教育基本法の「見直し」提言/死刑廃止の世紀へ 76  

2001年…………………………………………………………………………………………………81

▼タリバン政権によるバーミヤンの仏教遺跡破壊/えひめ丸事件の諮問会議 84 ▼沖縄県民意識調査から見えるもの/控訴せずの意味、ハンセン病国家賠償訴訟 90 ▼慰霊ということ/首相の靖国神社参拝問題 96 ▼同時多発テロと空爆開始の節目に/テロ対策特措法と自衛艦派遣問題/警官の拳銃使用の緩和 102  

2002年…………………………………………………………………………………………………109

▼朝日新聞阪神支局襲撃事件の公訴時効/メディア規制法案/社説にみる55回目の憲法記念日 112 ▼大洪水と地球温暖化/イラク攻撃をめぐって/住基ネットをめぐる問題 117 ▼拉致被害者帰国から1月─拉致問題への視点/韓国女子中学生死亡事件、米兵に無罪判決 123  

2003年…………………………………………………………………………………………………129

▼イラク問題の「瀬戸際」/世界に広がる戦争反対の輪/日本政府の対応への疑問 132 ▼イラク戦争は何だったか/旧日本軍の毒ガス被害─茨城県神栖町からみえるもの 138 ▼冷夏をさらに冷やす死刑判決/万景峰号入港と6ヵ国協議 144 ▼「旧日本軍遺棄毒ガス弾訴訟」 150 ▼自衛隊、イラクへ/外交文書公開と劣化ウラン弾/年の瀬「第9」エピソード 156  

2004年…………………………………………………………………………………………………163

▼メディアと防衛庁の「イラク取材ルール」合意/神戸連続児童殺傷事件の元少年「仮退院」 166 ▼見境のない暴力の連鎖/佐世保小6女児同級生殺害事件/違憲状態の参院選 172 ▼沖縄と台風/米軍ヘリ沖縄国際大墜落事件/普天間基地移設をめぐって 178 ▼韓国紙から見た日本/「12月8日」前後に決まったこと/自衛隊イラク派遣延長について/パレスチナの微かな光 184  2005年…………………………………………………………………………………………………191

▼3月20日の紙面から/「まさか」の出来事/ニッポン放送「新株予約権」問題 194 ▼韓国での「新聞を読んで」/歴史教科書の問題/日韓関係の今後/「対話の不在」を克服するために 200 ▼長崎での「新聞を読んで」/ハリケーン「カトリーナ」と台風14号/暴風雨下の総選挙/最高裁裁判官国民審査についての投書から 206 ▼イラク派遣再延長の閣議決定/CIA秘密収容所疑惑と欧州/「もう一つの12月8日」 212  

2006年…………………………………………………………………………………………………219

▼WBCで日本優勝/米新世界戦略と在日米軍基地/ニセ学位と75歳博士号 222 ▼改正道交法施行日の風景/参議院議員定数「4増4減」のお粗末 228 ▼真夏の沖縄から戻って/「安保の見える丘」の閉鎖?/普天間基地協議会をめぐる「ゆらぎ」/出生率3・14の島 233 ▼防衛庁から「防衛省」へ/「いじめ」と教育基本法改正問題/最高裁、前納学費返還に初判断 239  

2007年…………………………………………………………………………………………………245

▼統一地方選はじまる/国民投票法案の動向/犯罪被害者参加制度への疑問/「美しい国」の「うまし国」論争 248 ▼「北の国」からの視点/第二次安倍内閣と北海道/テロ特措法延長をめぐって/地方の再生のために 254 ▼入国審査と指紋・顔認証/クラスター爆弾禁止条約への道/「モラルを問う」企画のこと260  

2008年…………………………………………………………………………………………………267

▼イージス艦が漁船に衝突した事故、その後/沖縄とサイパンと/ネット規制と「18」歳 270 ▼二つの高裁判決─名古屋高裁判決その後/「光市母子殺害事件」の差し戻し控訴審判決276 ▼北京オリンピックまで1週間/労働者派遣法改正へ/神戸・都賀川事件から 282 ▼新聞と「総理大臣の一日」/金融危機、そして消費税増税/「かわいがり」から「はなむけ」へ 288


新聞から見える時代の境目…………294