壊れる子たち―変雀先生の心と身体の解体心書〈1〉
水村 義雄 (著)
176ページ
ISBN-10: 4806805300
ISBN-13: 978-4806805304
発売日: 2006/01/25
水村義雄(みずむら よしお)
1947年生まれ。 内経医学を中心とした中国・日本の古医書を研究する内経医学研究 会を創設とともに、伝統鍼灸医学の理論を通じて鍼灸師、サイコセ ラピスト、教育カウンセラーとして診療活動を展開。 心と身体の問題は社会的病理と相対的関係にありとし、子どもから 大学生、社会人とともにその研究と社会的変革の実践の場として元 気塾を開設。
このように人体の器官「口」と五臓の「脾」、そして感情の「思」を結びつけ、心身の病を経絡の「脾経」と有機的にシステム化し、その関連する経絡の穴を利用して「気血」という流れを鍼で治療していく理論が、古代の伝統鍼灸医学である。 特に子どもと対応する時は、問診も診断する情報源となるが、子どもの心の支えとなるおしゃべりと会話が大切である。それとともに、両親や関係者にも子どもに関しての問題を聞き、意志疎通をはかったり、子どもの抱えている問題の社会的背景を模索する中で、親と子、家庭と学校、学校と社会のあり方を見直すことができるきっかけになるのでは。 そして、両親、関係者が子どもの心身症のみならず、病気で苦しんでいるとき、 深い暗闇からの「助けて」のシグナルを目で、耳で、体に触れて理解し、本人と問 題を共有できればと願う。(はじめにより)
目次
はじめに
その一 市民活動と不登校─ 咳と痰そして喘鳴
体の中が冷蔵庫 /黒は安定感 /気はあらゆる存在の現象 /いじめは ストレス解消? /鼻は肺の出入口
その二 指しゃぶり─喘息とアトピー性皮膚炎
天突は喘息の特効穴 /五行は自然循環システム /喘息はむくみが原因 /気虚は心身症か /指しゃぶりは授乳の練習 /腎は安定を望む /脾は智恵の臓 /意と智はいつ備わるのか /喘息は心身症
その三 鬼のいぬまに暴飲暴食─ 一日入院 虫垂炎?
水飲み競争 /突然の腹痛 /肺虚に胃潰瘍が多い /陰血(瘀血)と 精血 /五臓と五行と五穴 /照海穴に点灸三百壮 /陰血(瘀血)と陽血 /頼りがいのある肝 /七日間の絶食で死? /疝気に膿血あり /黒い便がでた!
その四 生理がない─ 髪が全部抜けた
髪の色はアイデンティティ /髪の盛衰と腎 /頭髪が呼吸 /皮毛が髪を育てる畑 /髪の源は津液か /髪は血の余 /眉毛は横に、鬚は下に生えるの? /ケーキのバイキング /女性に鬚がないのは /月経(生理)がとまるのは /宦官には鬚が生えない /頭髪と督脉 /脱毛の治療 /魂魄相離れず
その五 夜がこわい─ おねしょ
膀胱に尿はどれくらい入るの /おむつがとれても毎日がおねしょ /小 便はどのようにつくられるか /小便の出る原理 /膀胱と湯タンポ / 小便と腎 /腎のよわりかた /夜尿症は遺伝なの /夢は魂魄をなす /夜尿アラーム /比較脉診での予後の考え方
その六 普通の学校へいきたい─ ぼく、癲癇なの?
フーテンの寅さん /疳の虫は寄生虫が原因? /癇は肝と関係がある/便のコロコロは津液不足 /膨脹したフウセンは肺の陽実 /穴が塞がるとストレス死 /二間穴は急驚風の特効穴 /障害児を普通学校へ
その七 思春期病棟、さよなら─ 私はアダルトチルドレン
リストカット /弟、妹への虐待 /愁憂は肺を病む /私を理解してく れた人 /思春期病棟入院 /クラブ入店 /燃えるローソクは腎虚 /七情と七神 /症状と五臓 /心血不足ならリストカットは痛くない /本能的欲望は腎精に舎るか /思春期病棟、さようなら
終わりに