井上 貴子 (著)
264ページ
ISBN-10: 4806805653
ISBN-13: 978-4806805656
発売日: 2008/8/31
2200円+税
著者
井上 貴子(いのうえ たかこ)
1957年、岐阜市生まれ。1981年東京藝術大学音楽学部楽理科卒業後、4年間インドのデリー大学に留学、カルナータカ音楽(声楽)専攻修士課程を終えて帰国。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程中退。2005年4月、東京大学から博士(学術)授与。現在、大東文化大学国際関係学部教授。
本書はビートルズとインドとのかかわりを話のきっかけとして、インドの音楽や舞踊などのさまざまな芸能とそれにかかわりの深い神話や宗教について語る本である。だから、ビートルズをタイトルに掲げてはいても、インドと関連しない事項については何も語っていない。一方、インドが少しでもかかわってくれば、そこからどんどん話を広げていき、インドの実際の芸能や宗教に深入りして解説することを目的としている。
世にビートルズ本は多数出回っており、インド音楽や宗教思想とのかかわりにも言及されているので、それは、ビートルズ・ファンばかりでなく広く一般に共有された常識となっている。しかし、その点を具体的にまとめて論じたものはほとんどない。ビートルズ・ファンは必ずしもインド音楽を専門的に勉強しているわけではないし、インド音楽の専門家がビートルズに詳しいとは限らない。だか
ら、このあまりにも常識化しているテーマを本書で掲げるのも悪くはないと思った。
目次
はじめに……………3
第一章旅のはじまり─ビートルズの時代………………………………9
1 永遠の旅立ち 10/2 旅の非日常性 14/3 インドで何をするのか 17/4 インド、ドラッグ、サイケデリック 22
第二章ビートルズとインド音楽…………………………………………………31
1 インドとの出会い 32/2 ヨーロッパにとってのインド 35/3 ラーガ・ロック 39
第三章ラヴィ・シャンカルとジョージ・ハリスン……………………51
1 ラヴィ・シャンカルの生い立ち 52/2 ラヴィとジョージの出会い56/3 ジョージのインド趣味 61
第四章ビートルズ、心の旅…………………………………………………………79
1 ヒマラヤのヨーギ 80/2 超越瞑想との出会い 87/3 クリシュナ意識国際協会 94
第五章南北インドの古典音楽……………………………………………………101
1 かつて古典音楽は一つだったのか 102/2 ヒンドゥスターニー音楽の発展 107/3 カルナータカ音楽の発展 116/4 ラーガとターラ 123/5 コンサート 128
第六章楽聖ティヤーガラージャ…………………………………………………131
1 ティヤーガラージャとその時代 132/2 ラーマ信仰の広がり 138/3 ティヤーガラージャの詩と音楽 141/4 ティヤーガラージャの祭り144
第七章血を好む女神の芸能…………………………………………………………151
1 カーリー女神とは 152/2 欧米にとってのカーリー女神 156/3 インドにとってのカーリー女神 161/4 フック・スインギング 166
第八章血を好む男神の芸能…………………………………………………………173
1 ナラシンハ神話 174/2 ナラシンハの聖地と歴史 177/3 バーガヴァタ・メーラ 182/4 ナラシンハ神話と芸能 189
第九章クリシュナ信仰と芸能……………………………………………………195
1 クリシュナ神話 196/2 バクティ運動の展開 202/3 古典舞踊とクリシュナ信仰 209
第十章それでも旅は続く─極私的身体論から…………………………221
1 踊る身体 222/2 歌う身体 226/3 ビートルズのインド、その身体的イメージ 232/4 イマドキのインド、ビートルズのインド 235/5 それでも旅は続く…… 238
あとがき……………241
付録1 ビートルズ・インド関連年表 243/付録2 インド楽器使用曲およびインド関連曲リスト 256/付録3 リシケーシュ滞在中に作られた曲一覧 257
参考文献……………258