高徳 忍 (著)単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: 柘植書房新社 (2010/4/30)
ISBN-10: 4806806080
ISBN-13: 978-4806806080
発売日: 2010/4/30
本書の第一部では、さまざまな学校内の対立の中から、特に「校内暴力」「いじめ」の問題を、一つの学校の危機的状況として取り上げながら分析し、第二部ではこの問題への「問い」を通して、これからの学校現場において、いじめ対策に向けての対話がいかにして可能であるかについて、心理学、教育学、社会学、人間学など、さまざまな分野から学際的なアプローチを試みる。
著者
高徳/忍
1955年福井県生まれ。大正大学文学部哲学科卒業、兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了、1984年より千葉県立松戸馬橋高等学校、千葉県立君津農林高等学校、千葉県立千葉工業高等学校教諭を経て、千葉県立千葉大宮高等学校教諭、大正大学人間学部人間学科教育人間学非常勤講師。日本カウンセリング学会認定カウンセラー、日本デューイ学会、比較思想学会会員。専攻:宗教哲学、臨床教育学、カウンセリング心理学
目次
はじめに……………3
第一部「いじめ」の問題(いじめの分析論)…………………………………13
第1章校内暴力からいじめへ………………………………………………………………15
校内暴力 15/尾崎豊の「十五の夜」「卒業」 17/管理教育から、体罰、いじめ、不登校へ 19/ゆとり教育 20/槇原敬之の「どんなときも。」 24/最近の暴力行為 26
第2章いじめ事件………………………………………………………………………………29
いじめ事件の時代区分 29/ガキ大将型いじめ 30/差別型いじめ 32/情報体験としてのいじめ 32/「親の顔が見たい」 34
第3章いじめの定義と言葉…………………………………………………………………36
旧文部省のいじめの調査 36/旧文部省のいじめの定義(主観的いじめ) 38/現在の文科省のいじめの定義 40/「いじめ」のディスクール 41/いじめと犯罪の区別 45/学校独自のいじめの定義、アセスメント 46
第4章いじめの種類と特徴…………………………………………………………………49
いじめの様態 49/「いじめ」と「暴力行為」の区別 51/いじめの特徴 52
第5章いじめの原因……………………………………………………………………………64
作用因〈動因〉(因果的必然性) 65/ルサンチマン 70/平等のパラドックス 73/目的因〈理由〉(目的的必然性) 74/偶然的原因〈誘因〉(目的的偶然性) 75
第6章いじめの構造とメカニズム………………………………………………………82
四層構造 82/三層構造 84/いじめの問題への緊急提言 85/強要された補完型あるいは囲い込み型 86/「フリ」というゾッとする作法 88/「新村社会」「新村八分」 91/宮沢賢治作「猫の事務所」 92
第7章いじめと自殺……………………………………………………………………………97
年間三万人の自殺者 97/自殺論 99/コホート効果 101/井上陽水の「傘がない」 103/桜井和寿の「名もなき詩」 104/いじめ自殺 108/群発自殺 112/いじめ自殺予告 113
第二部「対話」の教育(いじめの対策論)……………………………………117
第8章カウンセリング心理学………………………………………………………………119
心理的アセスメント 119/「エゴグラム」 121/「いじめられっ子」「いじめっ子」のタイプ 122/カウンセリング 124/カウンセリングの方法・技法 130/TST 132/いじめ探し 132/「ジョハリの窓」 133/朝日新聞社の『いじめられている君へ いじめている君へ』 135/ロールレタリング 136/アンジェラ・アキの「手紙〜拝啓十五の君へ〜」 137/DESC法 140
第9章道徳教育……………………………………………………………………………………145
海外のいじめ防止プログラム 145/管理教育の「生徒指導」の問題点 147/日本のスクールカウンセラー制度 149/アメリカの道徳教育 150/コールバーグの道徳性発達 150/コールバーグの道徳教育 153/「いじめ」対策としてのジャスト・コミュニティ・アプローチ 157/ハーバマスのディスクルス倫理学 159
第10章宗教教育⑴………………………………………………………………………………165
宗教教育とは 165/宗教教育と法律 167/宗教的情操教育 168/フランス「リセ」の宗教哲学的宗教教育 171/宗教哲学的宗教教育│シェーラーの「偶像粉砕」 173/宗教哲学的宗教教育の実践の試み│下村湖人の「大いなるものに謙る心」 175/宗教心理学的宗教教育│エリクソンの「儀式化」(ritualization) 177
第11章宗教教育⑵………………………………………………………………………………182
河合隼雄の「壁」、「抑制者」(inhibiter) 182/対話の中での「対決」、「権威」 184/ブーバーの「我と汝」の出合い 184/ブーバーとロジャーズの対話 186/対談後の『我と汝』の「あとがき」 194/ブーバーの『対話』 197
第12章教育的人間学……………………………………………………………………………201
教育的人間学とは 201/問いから対話へ 202/対話の前提条件 205/映画「青い鳥」 206
終章対立と対話……………………………………………………………………………………217
身体性の欠如 217/IT世間、プチ世間 218/真の対話=語りかけ(Anreden) 220
おわりに……………224
【資料】……………230