日本帝国期の世界史

2020/10/23 18:01 投稿者:  kanri2

日本帝国期の世界史

著 者 奥 保喜(おく やすき)

46判並製/504ページ

定価3800円+税

ISBN-13:9784806807445  C0030

発売日:2020年11月2日

**電子書籍あり**

 

著者

奥 保喜(おく やすき)

 1940年生まれ

 1962年早稲田大学第一文学部卒業

 1965年一橋大学社会学研究科修士課程中退

 2000年東京都立高等学校(世界史教諭)を停年退職

 2000年東京電機大学情報環境学部非常勤講師(〜2016年)

■著 書

 高校教科書『世界史B』清水書院(1994年)、『冷戦時代世界史』柘植書
 房新社(2009年)、『日本帝国期東アジア史』清水書院(2020年)

 

本書では、帝国主義という用語を「膨張」だけでなく、植民地「維持」もふくめて使用することにする。したがって植民地を放棄するまで、その本国は帝国主義国であり、帝国主義の時代がおわるのは第二次世界大戦後であるとする。また植民地として支配すること、すなわち領土化 = 完全な政治支配だけでなく、保護国や委任統治領という形での政治支配も帝国主義であるとみなす。 そして『日本帝国期の世界史』と題する本書は、一八八〇年頃から第二次世界大戦に日本が参入する一九四一年までの東アジアを除く世界の歴史を、全体的、体系的に記述することをめざしている。他の帝国主義国の動向を知り、それとの比較によって日本帝国主義の公平な評価のひとつの糧にしたい。

 

目次

第一部 十九世紀末~二十世紀初頭の世界

序章     12

「帝国主義の時代」・12/列強の領土・支配地域13/ビスマルク体制の成立と東方問題・16/ビスマルク体制の再建・19

 

第一章 欧米の社会変化と国家・民族対立    21

一 工業発展と生活の向上    21

第二次産業革命・21/交通・通信手段の発達・23/ドイツ・アメリカの工業発展・24/民衆の生活向上⑴・27/民衆の生活向上⑵・29

二 先進四大国の動向    32

イギリス⑴ 一八八〇年頃の政治体制と階級社会・32/イギリス⑵ 一八七〇・八〇年代・34/イギリス⑶一八九〇年代 ― 社会帝国主義の出現・36/イギリス⑷ 二十世紀初頭・37/フランス⑴ 第三共和政と反ドイツ主義・39/フランス⑵ 共和主義的改革と社会主義運動・40/ドイツ⑴ 政治体制・42/ドイツ⑵ ビスマルク体制の崩壊と露仏同盟の成立・44/ドイツ⑶ 世界政策の登場・46/ドイツ⑷ 二十世紀初頭・49/アメリカ⑴ 合衆国憲法・50/アメリカ⑵ 一八八〇年頃の政治体制・51/アメリカ⑶ 一八九〇年代 ― 帝国主義政策の開始・53/アメリカ ⑷ 二十世紀初頭 ― 革新主義・56

三 半周縁諸国と小民族⑴ ロシア    59

ロシアの改革と農民の状態・59/一八八〇年代・62/一八九〇年代 ― 工業化とマルクス主義の浸透・64/一九〇〇年代前半 ― 革命勢力・66/第一次ロシア革命・69/第一次ロシア革命以降・73

四 半周縁諸国と小民族のナショナリズム⑵ 伊・日・墺    75

イタリア⑴ 政治体制・75/イタリア⑵ 工業化・76/日本⑴ 大日本帝国憲法・77/日本⑵ 工業化・79/オーストリアと民族問題・80/バルカン諸民族のナショナリズム・83/その他少数民族のナショナリズム・84

 

第二章 十九世紀末の世界分割    86

一 アフリカ分割    86

英のエジプト・仏のチュニジア占領・87/コンゴ問題とベルリン会議・88/イギリスのアフリカ縦断政策・89/フランスのアフリカ横断政策とファショダ事件・91/南アフリカ戦争・92/イタリアのアフリカ進出・93

二 太平洋地域・東南アジア・カリブ海地域    94

太平洋地域の分割・94/フランスのインドシナ進出・96/イギリスの東南アジア進出・99/オランダの東インド進出・102/カリブ海地域・米西戦争・103/アメリカ・フィリピン戦争・108

 

第三章 諸地域の開発と移民    110

草原地帯の開発・110/ヨーロッパからの移民・112/アジア系移民の排斥・115/オーストラリアの発展・116/ラテンアメリカ・117/合衆国の隣接地域―カリブ海地域とメキシコ・118/ロシア人の中央アジアへの拓殖・120/漢族の満洲への入植・121/東南アジアのモノカルチャー経済・124

 

第四章 二十世紀初頭の世界分割    127

一 日露戦争まで    127

英米友好関係の成立・127/英仏協商の成立・129/アメリカのカリブ海政策⑴・130

二 日露戦争後    134

アメリカのカリブ海政策⑵・134/第一次モロッコ事件・135/三国協商と日露・日仏協約の成立・137/海軍の発展と英独建艦競争・139/オーストリアのボスニア・ヘルツェゴヴィナ併合・140/モロッコ保護国化・141/バルカン戦争・143

 

第五章 従属アジアのナショナリズムと植民地主義    146

一 イギリスのインド統治とナショナリズム    146

行政制度・146/インド高等文官とインド軍・148/教育・公益事業・人種差別・飢饉・150/初期のインド・ナショナリズム・151

二 東南アジア    154

イギリス領ビルマ・154/イギリス領マラヤ・156/フランス領インドシナ⑴ 統治・157/フランス領インドシナ⑵ 民族運動・160/オランダ領東インド⑴ 統治・161/オランダ領東インド⑵ ナショナリズム・163/アメリカ領フィリピン・164

三 中東    166

フランス領アルジェリア・166/青年トルコ人革命・168/イラン立憲革命・170

 

第二部 第一次世界大戦とその後の世界

第六章 第一次世界大戦とロシア革命    174

一 第一次世界大戦⑴ 前期    174

世界大戦のはじまり・174/国民と社会主義勢力の態度・178/緒戦・179/武器・弾薬の増産開始・182

二 第一次世界大戦⑵ 中期    183

戦争の長期化・183/戦時統制経済と兵力増員・186/秘密外交の展開とパレスチナ問題の起源・187

三 第一次世界大戦⑶ 後期    190

アメリカの参戦・190/「平和に関する布告」と「十四ヵ条」・192/戦争の終結とドイツ革命・196/新兵器と死傷者数・199

四 ロシア革命⑴ 二月革命と「二重権力」    200

第一次大戦下のロシア・201/二月革命・202/レーニンの四月テーゼ・207/連立政府の成立と革命運動の進展・210/七月事件とコルニーロフの反乱・213

五 ロシア革命⑵ 十月革命と一党体制の成立    216

十月革命⑴ 準備・216/十月革命⑵ 実行・218/十月革命直後・221/ブレスト講和・224/一党体制の確立・226

六 諸民族の独立    230

ロシアからの独立の動き・230/オーストリア・ハンガリー帝国の分解・233

七 ロシアの内戦と対ソ干渉戦争    236

内戦開始・シベリア出兵問題・236/チェコ軍団の反乱・シベリア出兵・240/全ロシア臨時政府の成立・243/第一次大戦終結後⑴・245/第一次大戦終結後⑵・248/ソビエト・ポーランド戦争・250

八 コミンテルン結成とロシア共産党の新綱領・新規約    252

戦時共産主義と赤色テロル・252/コミンテルンの結成・254/ロシア共産党第八回大会・256/ロシア以外のソビエト化・258

 

第七章 第一次大戦後の国際秩序    261

パリ講和会議⑴・261/パリ講和会議⑵・263/ベルサイユ条約⑴ ドイツとの講和・265/ベルサイユ条約⑵ 国際連盟・267/アメリカの連盟不参加・269/ドイツ以外の敗戦国・271/新興国家の領土・273/バルカン諸国の対立とロシアの領土喪失・274

 

第八章 ヨーロッパ ─ 激動から安定へ    277

一 ソ連の成立とスターリン独裁の成立    277

一九二一年⑴ アントーノフの反乱とクロンシュタットの反乱・277/一九二一年⑵ 民主集中制の強化とネップの採用・278/ソ連の成立(一九二二年)・281/ソ連共産党の組織・282/レーニンの死・284/党内闘争⑴・285/党内闘争⑵・288/社会ファシズム論・289

二 ドイツ    290

ドイツ革命の帰結・290/ベルサイユ条約調印とワイマール共和国発足・292/賠償問題と経済危機・295/ワイマール共和国中間期の内政・297

三 イタリア    300

「赤い二年」・300/ムッソリーニの政権獲得・302/ファシズム体制の形成・304

四 その他の西ヨーロッパ諸国    307

大国イギリスの斜陽・307/フランス・310/北欧・バルト諸国・311/イベリア・313

五 東ヨーロッパ    314

少数民族の分布と割合・315/ポーランド・チェコスロバキア・ハンガリー・316/戦間期のバルカン諸国・318

六 ワシントン会議と国際協調    321

ワシントン会議の由来・321/ワシントン会議の取りきめ・324/米オレンジ・プランの展開・330/フランスの協調外交への転換・332/ロカルノ条約・333/補助艦の建造・335/不戦条約・336/一九三〇年・337

 

第九章 列強の植民地支配とナショナリズム    340

一 インド    340

第一次大戦とインド・340/第一次非暴力・不服従運動・341/第二次非暴力・不服従運動・345/新インド統治法と宗教対立・347

二 東南アジア    350

イギリス領ビルマ・350/イギリス領マラヤ・351フランス領インドシナ・352/オランダ領東インド・355/アメリカ領フィリピン・358/独立国タイ・359

 

第十章 戦間期の中東    361

オスマン帝国の敗北・361/トルコ共和国の成立・362/トルコ革命・365/イランの変動・366/東アラブ地域の分割・369/分割後のアラブ地域・371/エジプトの独立・374

第十一章 合衆国とラテンアメリカ    376

一 アメリカ合衆国    376

アメリカニズムの強勢・376/耐久消費財の大量生産・大量消費・378/マス・メディアの発達・380/大衆社会の成立・381

二 ラテンアメリカ    383

アンデス諸国・384/アルゼンチンとブラジル・385/メキシコ革命・386/合衆国のカリブ海政策・386

 

第三部 世界恐慌と第二次世界大戦開始

第十二章 世界恐慌とその影響    392

一 世界恐慌とブロック経済    392

世界恐慌のはじまり・392/アメリカの対策・395/英仏の対策とブロック経済の形成・398/資本主義の変化とケインズ理論・403 二 ナチス・ドイツの成立    494 ナチ党・404/ナチスの勢力拡大⑴・406/ナチスの勢力拡大⑵・409/ヒトラー内閣の成立・411/全権委任法の成立・413/ナチズム体制の樹立⑴・415/ナチズム体制の樹立⑵・418

 

第十三章 ソ連社会主義国家の発展    420 第一次五ヵ年計画⑴ 工業化・420/第一次五ヵ年計画⑵ 農業集団化・422/第二次五ヵ年計画・425/文化の国家管理・427/スターリン憲法と国家制度・429/新支配集団・431/大粛清・433/党員構成の変化・436

 

第十四章 イベリアと三〇年代の中部アメリカ    439

スペイン・439/ポルトガル・440/メキシコ ― 単一政府党と改革・441/中央アメリカ ― 独裁政権の成立・442/西インド諸島・443/合衆国の政策・444

 

第十五章 第二次世界大戦への歩み    446

一 一九三三~三六年    446 ドイツの国際連盟脱退・446/ドイツの再軍備と人民戦線・449/イタリア・ドイツの軍事行動開始・451/ドイツの軍備増強計画と失業の解消・454/ユダヤ人と「危険人物」への迫害・456/フランス人民戦線政府・457/スペイン内戦・459/日独伊防共協定の成立・463

二 一九三七~三九年    464 米・英の軍備強化・464/ドイツのオーストリア併合・465/ミュンヘン会談・467/チェコスロバキアの解体とポーランド問題・470/独ソ不可侵条約の締結・472