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「共和国」フランスと私―日仏の戦後デモクラシーをふり返る
樋口 陽一 (著)
200ページ
言語: 日本語
ISBN-10: 4806805521
ISBN-13: 978-4806805526
発売日: 2007/03
二〇〇六年、四回に渡って行なわれた日仏会館「教養講座」をまとめた。
第一回目は、日本で言うと歴史認識、二回目は、人権、三回目は、フランス的意味の「共和国」républiqueという主題、四回目は、ヨーロッパ統合とフランスについて語り、社会の基本的なありようを分析する。
著者
樋口 陽一(ひぐち よういち)
1934年仙台市生まれ。憲法・比較憲法専攻。
東北大学法学部教授、東京大学法学部教授のあと上智大学教授、早稲田大学教授などを経て、現在、日本学士院会員、フランス学士院準会員、国際憲法学会名誉会長、日仏会館常務理事。
■主な著書
『近代立憲主義と現代国家』(勁草書房、1973年、日本学士院賞受賞)ほか、専門書多数。
一般読者向けとして、
『比較のなかの日本国憲法』『自由と国家─いま憲法のもつ意味』『憲法と国家─同時代を問う』(以上、岩波新書)『個人と国家』(集英社新書)『日本国憲法─まっとうに議論するために』(みすず書房)など。
はじめに……………3
Ⅰ 歴史とメモワール………………………………………………………………13
フランスと日本、そして私にとっての「一九六〇年」 15
ド・ゴールの再登場 18
騒乱のパリとド・ゴールの非常大権の発動 21
パリ大学の教授たちも標的 24
ド・ゴールの政治手法とアルジェリアの独立 28
大統領の直接公選制を導入 32
「歴史」に対するフランス人の問題意識 39
「人道に反する罪」に刑事罰を 43
フランスの植民地支配の過去と現在 46
歴史家の領分と政治家の責任 50
法律の形式で歴史事実をどう扱うか? 52
〔その後の経過〕 57
Ⅱ 人権と「知」の在り方…………………………………………………………61
「六八年五月」のフランスと日本 63
ド・ゴール復帰から一〇年を経て 67
日本の「六八年」とは何だったのか? 71
一九八九年─「人権宣言」二〇〇年をどう受け止めるのか 74
「四つの八九年」について 82
「人権」の虚偽性についての批判 88
女性の「人権」はどうだったのか? 90
植民地からすれば? 93
民族、人種、性別から「個人」を解放することは可能か? 95
「ヒューマンライツ」のあいまいさ 99
人権の普遍性を求めて─国際憲法学会を創る 101
人権を論ずる空間を広げる「知」 106
Ⅲ フランス特有の意味の「共和国」…………………………………………111
「ド・ゴール流」の政治構造改革とその中身 113
ナポレオンとド・ゴール 118
「憲法」の名を使ったクーデターか? 121
「偉人への忘恩」とチャーチル 124
反対していた直接選挙制で大統領になったミッテラン 126
個人の「自由」を守る国家、それが「共和国」 129
トクヴィルの見たアメリカ 137
フランス型構造の動揺 141
ドブレの「共和国」擁護 145
「共和制」と「民主制」─学校が示す対比 151
「古いヨーロッパ」とは? 157
Ⅳ EUの中のフランス………………………………………………………………161
独仏の和解から始まった戦後のヨーロッパ統合 163
ド・ゴールとアデナウワー 166
ヨーロッパ連合のキーワードは「人権」 171
ネーション・ステートは「民族国家」ではなく「国民国家」 173
国民国家の二つのタイプ 178
統合型と多元型の問題点 182
ドイツは「憲法パトリオティスムス」─ハーバーマスと『吉里吉里人』 188
あとがき……………192