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イラン・パペ、パレスチナを語る─「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ
イラン パペ(語り) (著)
ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉(編訳) (翻訳)
292ページ
ISBN-10: 4806805831
ISBN-13: 978-4806805830
発売日: 2008/3/10
2800円+税
この本は、日本語での私の最初の刊行物となります。日本に招聘されたときには限られた人数としか話を共有することができませんでしたが、それをこうしてこの国の読者らと広く共有できるようになったことは、たいへんうれしく思います。
私がパレスチナ問題に関わるようになってからもう三〇年以上になりますが、人びとと話をしていても、 世界に数ある紛争のうちのひとつについてさえ、それに耳を傾けさせたり、何か行動を起こさせるというのは、本当に難しいことです。
そうした世界の紛争のなかには、パレスチナにおける紛争よりもはるかに暴力的で血なまぐさいものもあります。しかし、パレスチナの紛争というのは、世界全体の安定と平和にとって決定的に重要な意味をもち、日本に対しても影響を及ぼします。 日本を訪れたときに、多くの人びとがパレスチナについて気にかけ、あらゆる方法で手を貸そうとしているのを知り、心温まる思いがしましたし、力づけられました。日本の人びとがパレスチナについて実に広範な知識をもち、深くコミットしているのを見て、驚きもしました。
そうしたなかで私の使命は、傍観者ではいられないユダヤ人の倫理の声を届けることだったと思います。(日本の読者へから)
著者
イラン・パペ(Ilan Pappé)
1954年、イスラエル生まれ。エクセター大学(=イギリス)歴史学部教 授。第一次中東戦争(1948年)に関する論文で、1984年オックスフォー ド大学博士号を取得。帰国後、ハイファ大学政治学科講師に就任し、シ オニズムを批判する立場からの研究を積み重ねる。その研究に対するイ スラエルの学界からの反発と、パレスチナ人学生の論文評価をめぐる学 内での対立により、ハイファ大学を追放されかかるが、国際的な非難の 声を受けて処分を覆す。反シオニスト左派のオルタナティブ・インフォ メーション・センターが発行する英字雑誌 News from Within にも頻繁 に寄稿・発言するなどの活動も精力的に行なっている。
近著『The Ethnic Cleansing of Palestine』(Oneworld Publications/ 2006年)
編訳者
ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉
パレスチナをはじめとする中東地域の動きに注目し、さまざまな文化や 歴史的背景をもちながら平和的で対等な共存を求めるこの地の人びとと つながっていくことをめざして、2006年より活動。「ミーダーン」とは アラビア語の「広場」という意味で、対話を通じて生まれる可能性への 期待を込めたもの。
目次
第1章◉ パレスチナの「民族浄化」─ 何が起こったのか
【解題】シオニズムを、イスラエルを、イスラエル人として問い直す営為 臼杵陽 USUKI Akira
パレスチナ人のナラティヴに近づくような言説 イスラエルにおけるパペの「孤立」
シオニズムをイスラエル人として問い直す 下からの歴史、周辺か らの視点
【講演】民衆の共存に向けた歴史の見直しを イラン・パペIlan Pappé
【会場討論】下からの歴史をつくっていくために、個々人が果たしうることは
【講演】パレスチナの「民族浄化」は、なぜ現在も続くのか イラン・パペIlan Pappé
【会場討論】共に生きることを望むなら、二つの国に分けることはできない
第3章 「◉ 橋渡しのナラティヴ」 ─ 他者の歴史にどう向き合うか
【講演】歴史のナラティヴに挑戦すること
イラン・パペIlan Pappé
【会場討論】共生の領域を、あるいはそれを創り出す努力の領域を探る