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北欧教育の秘密 高ヒット

北欧教育の秘密●スウェーデンの保育園から就職まで●

遠山 哲央  (著)
192ページ
ISBN-10: 4806805815
ISBN-13: 978-4806805816
発売日: 2008/7/30

1800円+税

 

スウェーデンは、人が楽(らく)しているのに、なぜ豊かで住みやすいのか。私的な世界七不思議だ。

子どもの頃はあまり勉強しないし、大人になってもあまり働いていない。受験も学習塾も存在しないから、勉強時間が少ない。社会人は残業をしないし有給をたっぷり取るから、労働時間が少ない。五時にはオフィスから人影が消え、夏休みはスウェーデン中が機能しなくなり、この時期に病気をするなと言われる(病院に医者がろくにいないからだ)。

別に恵まれた環境でもなく、隠れてずるいことをやっているわけでもなさそうだ。スウェーデンは鉱石と森林を除けば資源は貧しく、気候は先進国で最悪だ。影の武器産業はあるが、雀の涙にもなっていない。おまけにたった九百万人の小国だ。しかし、こんな貧弱で楽している人たちが、国際競争力、IT競争力、潜在競争力、住みやすさ、報道の自由度、生活の豊かさ、教育水準、平和指数、福祉の充実など、各種ランキングの上位を占める優秀な国を築いている。おまけに治安もよく、格差も少ない。豊かで競争力が高いかわりに、格差が大きく、治安の悪いアメリカとはまったく違った繁栄の仕方をしている。(まえがきより)

 

保育園・幼稚園、就学前クラス、小学校、問題児だけ集めた公立校、中学校、高校、大学、教員育成、校長採用システム、教育の未来像をスケッチする教授、社会人教育機関、企業側の新卒採用ノウハウなど、3年間をかけてスウェーデン中に足を運んだ取材を元に、教育の生の姿と、北欧教育の本質を探る―画期的なルポルタージュ

 

目次

まえがき 3

 

1 幼稚園・保育園    11

赤ちゃんの頃 11

幼児の環境は一生の土台/産休制度/制度を悪用する人たち/スウェーデン女性の本音/子どもを騒がせない/北欧の泣き所

保育園を訪問 17

圧倒的多数の保母/公立保育園を見てみる/「この子の週」/子どもは好きなことをやっている/わが子は/混ぜ組、異年齢のグループ/いじめや孤独に対して/ケジメがある/子どもだけの人間関係トレーニング

モンテソーリ幼稚園 29

独特な教育方針/カリキュラム/保母さんの忍耐/どういう保育園を選ぶのか

 

2 小学校準備教育    35

就学前クラス訪問 35

もうすぐ小学生/保母さんから転職/クラスの一日/母国語授業は税金で/ほかの学校も訪問

 

3 校長と生徒代表の意見交換    45

デモクラシー活動 45

先生は立入禁止/ホッケーのルールを決める/校長と生徒の意見衝突/うそつき!/わざわざ決め合う意味

 

4 小学校    55

一年生の授業 55

みんな大好きアンナ先生/素直な反応と姿勢の悪さ/先生は何も指示しない

三年生の授業 71

問題解決能力/スウェーデンと日本の違いの根っこ

ヘルプ先生 77

専門の教育が必要/ハンパスくんの補習風景/問題ある子をとりこぼさない 普通の学校で扱い切れない子のための学校 83 救われなかった生徒たち/親もケアする/同じコンセプトの中学校もある

 

5 中学校    89

普通公立校生徒へのインタビュー 89

普通校中三男子、専門学校志望/中二年男子、高校に行くんじゃないかな/中三男子、数学の先生になりたい/中三女子、高校のデザイン学科志望/中三女子、数学の成績は一番

公立学校を訪問 102

優等生と劣等生の差

 

6 高校    107

日本人留学生の驚き 107

留学中の日本人女子高生にインタビュー/日本とスウェーデンの違いは?/勉強って面白いんだ/高校生のディスカッション風景

校長先生の本音 117

校長先生のお話/深刻な基礎学力の低下/校内カウンセラーのお話/公立高校校長のお話

 

7 小・中・高    125

いじめ問題 125

いじめはすべてのクラスに存在する/いじめの多い年代/かつて先生もいじめの一員だった/いじめの多い場所/ヒエラルキーのどこにいるのか/いじめ被害者はどうするか/いじめにはあっていないけど、一人ぽっちの子はどうする/悪い王様・悪い女王はどうなるか

 

8 大学    139

教員養成 139

教員養成の専門家にインタビュー/教師不適任者の割合/一クラス何人が理想ですか

 

9 教員採用    145

校長採用の仕組み 145

校長採用の人事責任者にインタビュー/問題解決能力が最重要/クビにする権利はないが、管理する権利はある

 

10 アントレプレナー&イノベーション教育    151

起業家精神と斬新な着想/偏差値、大学のランクはない/先生を変えるのは難しい/スウェーデンの悪い点/科目の垣根を越える/スウェーデンの学校を変えるとしたら/イノベーションとは発明ではない/スウェーデン人は、日本人をクリエーティブだと思っている/スウェーデン教育の未来像

 

11 人生を変える支援教育    161

人生やり直し社会/身近な例/人生転換の支援教育として利用される大学/複数の入学ルート/定員オーバーの場合は/入学前のみちくさ/社会人弱者を支援するAMS/国際競争力につながる流動的労働力

 

12 人材採用側の視点    171

雇う側からみたスウェーデンの教育/バイトが就職を左右/学歴は目安、面接が肝/スウェーデン企業が求める人材

 

13 スウェーデン教育の骨格    177

リスベス・ルンダル教授にインタビュー/ひどい過去だったスウェーデン/日本とスウェーデンの縮図/なぜ残業しないのか/スウェーデン式デモクラシー/デモクラシーと民主主義の違い/全員参加型/昔の日本と似ている/スウェーデンの正体/スウェーデン教育の優れている点/スウェーデン人への殺し文句

 

あとがき 189

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