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〈新版〉患者に学んだ成人型アトピー治療
著者:佐藤健二(阪南中央病院皮膚科部長)
A5並製 256ページ
口絵カラー6ページ
ISBN-13:978-4-806806653
第4刷できました。
【目次】
新版にあたって ……………20
序章 プロローグ ……………22
第1章 脱ステロイド・脱保湿は何をするのか ……………27
1. ステロイド離脱 28
2.プロトピック離脱、ネオーラル(免疫抑制剤)離脱 30
3.保湿離脱 31
4.アトピー性皮膚炎の原因をアレルギーと考えないこと 33
5.アトピー性皮膚炎の原因と自然治癒 34
6.規則正しい生活 34
7.食物制限はなし 34
8.水分制限 35
9.理学療法 36
10.皮疹の経過を知ること 37
11.精神的・肉体的ストレスを減らす 38
12.精神的に落ち込まないこと 38
13.入浴の限定的利用 39
14.止痒剤、睡眠剤の適切な使用 39
15.皮膚の保護 40
16.発熱と細菌・ウイルス感染に注意 41
17.洗剤からの皮膚の保護 41
18.爪切り励行 42
19.周囲の人間は「掻くな」とは言わない 42
20.サプリメント、漢方 43
21.嗜好品 43
22.その他の知っておくべきこと 44
第2章 難治化アトピー性皮膚炎 ……………45
1. 「難治化アトピー性皮膚炎」とステロイド依存性皮膚症 45
⑴ 難治化アトピー性皮膚炎 =
本来のアトピー性皮膚炎 + ステロイド依存性皮膚症 47
⑵ 外用ステロイド離脱症状とその機構 48
⑶ 薬疹と受け入れられにくい理由 49
⑷ 依存性 49
⑸ 離脱症状の強い条件 51
2. 依存性(dependence)と作用減弱現象(tachyphylaxis)の違い 51
3. 保湿依存症 53
⑴ 保湿の方法 53
⑵ 脱ステロイド中、保湿がよくないことは理解しがたい 54
4. 成人期のアトピー性皮膚炎(難治化アトピー性皮膚炎との区別) 56
⑴ 幼児期などでのステロイド外用歴の確認は困難 57
⑵ 幼少期ステロイド外用の重大な影響 58
5. ステロイドによる皮疹の抑制と
ステロイド皮膚症としての皮疹の保持 59
6. 脱ステロイド・脱保湿療法はステロイドの副作用を治療するが、
アトピー性皮膚炎を直接に治療するものではない 60
7. 幼児にも起こる 60
8. 難治化アトピー性皮膚炎の発症頻度 62
9. 接触皮膚炎の合併は? 64
10. アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患か? 65
⑴ Sulzbergerの定義の間違い 67
⑵ アレルギー説の根拠とされるもの 67
⑶ IgE関与の薄い根拠 67
⑷ 吸入アレルゲンなど 68
⑸ IgE依存過敏反応 69
11. 社会の諸矛盾の反映 70
第3章 脱ステロイド ……………74
1. 脱ステロイドの二つの意味 74
2. 脱ステロイド・脱保湿の完了時期をいつ実感しうるか? 75
3. 脱ステロイド・脱保湿療法を行う心構え 77
4. ステロイド離脱の方法 78
⑴ 色々なステロイド離脱方法 78
⑵ 小児、妊婦、接客業など 80
5. 脱ステロイド療法の成功率 81
6. 離脱後の皮疹悪化の捉え方。ステロイド離脱症状か
アトピー性皮膚炎の悪化か? 83
第4章 脱保湿 ……………86
1. 保湿依存症とは? 86
2. 脱軟膏(脱保湿)に思い至った経過 87
3. いろいろな保湿方法 89
4. 脱保湿を医師が受け入れにくい理由 90
5. 保湿はよい場合と悪い場合がある 91
6. 保湿依存の無意識的認識 92
7. 保湿離脱の方法 93
⑴ 方法の概略 93
⑵ 時刻、間隔について 94
① 入浴直後に1度だけの外用回数に減らす 94
② 入浴後外用までの時間を1週間ごとに1時間ずらす 94
③ 何日かに1度外用する 94
⑶ 外用面積・部位・量などを変える 94
① 面積 94
② 面積あたりの外用量 95
③ 外用部位 95
④ 非露出部離脱 95
⑤ 軟膏以外の保湿離脱 95
⑷ 脱保湿の完了時期の判定はむつかしい 96
8. 生下時からの保湿剤外用 96
第5章 免疫抑制剤(プロトピック軟膏とネオーラル)
の問題点 ……………97
1. プロトピックの問題点 97
2. プロトピック依存症とプロトピック離脱 99
⑴ 依存症 99
⑵ 離脱症状 99
⑶ プロトピックによるステロイド離脱は可能か 100
⑷ 免疫抑制剤による保湿離脱は可能か 100
⑸ プロトピックの小児への保険適応 101
第6章 口渇と水分制限(調節) ……………103
1. 水分制限上の注意 104
2. 夜間に水をできるだけ摂らないこと 105
3. 成人期最重症患者の水分調節 106
4. 口渇の原因 107
5. ラシックス(ナトリウム利尿剤)で瘙痒軽減 108
第7章 細菌・ウイルス感染対策 ……………109
1. 細菌感染の皮疹 109
2. 細菌感染以外との鑑別 110
3. MRSA感染 110
4. MRSAへの抗生剤パック 111
5. 黄色ブドウ球菌を減らしてもアトピーはよくならない 111
6. 消毒剤の刺激性 112
7. ウイルス感染対策 112
第8章 入浴の限定的利用 ……………114
1. 入浴の目的 114
2. 入浴時の注意 114
3. 入浴方法 115
4. 洗い方 116
5. 頻回の入浴は避ける 117
第9章 理学療法 ……………118
1. 理学療法の意義 118
2. 理学療法での注意事項 118
第10章 痂皮鱗屑をはぎ取る癖をなくす ……………120
1. 痂皮や鱗屑は無理に取らない 120
2. 剃り 121
3. 表皮内蛋白の正常化 121
第11章 滲出液を拭き取らない ……………122
1. 滲出液をガーゼで固定 122
2. ティッシュペーパー使用禁止 123
第12章 周囲の人間は「掻くな」と言わないこと ……………124
1. 掻いても皮膚はよくなっていく 124
2. 掻いてもいいから夜は眠ろう 125
3. 布では掻かないこと 125
第13章 アトピー性皮膚炎患者の掻破癖 ……………127
1. 痒みの感覚 127
2. 痒みの種類 128
3. 二つの掻破癖 128
第14章 不眠対策 ……………130
1. 不眠の程度 130
2. 脳の睡眠中枢 130
3. 実際の不眠対策 131
4. 睡眠薬の使い方 132
第15章 ステロイドと保湿離脱時の皮疹の経過 ……………134
1. 皮疹の継時的変化認識の重要性 134
2. 皮疹の一般的経過 135
3. 患者が誤解する「見た目の悪さ」と「自覚症状の悪さ」 136
⑴ 見た目の悪さ 136
⑵ 自覚症状の悪さ 136
4. ステロイド外用部位以外での皮膚の反応(遠隔皮膚の連絡反応) 137
5. 手指は最も外用の多いところ 138
6. 部位による皮疹改善の時間的ずれ 139
7. 痂皮化の時間の短縮 139
8. 皮疹評価は自覚症状(痒み、痛みなど)ではなく
他覚症状で(皮疹改善には一定の順序がある) 140
9. 部位別皮疹改善の経過 140
⑴ 顔面 140
① 湿った紅斑・ 141
② 痂皮化と 141
③ 痂皮の小型化と色素沈着 143
④ 鱗屑形成と皮脂出現 143
⑤ 皮疹の種類の違いによる皮疹変化の時間的ずれ 144
⑥ 治りの遅い部分:額、眼瞼、頬、耳 144
⑵ 頚部 145
⑶ 145
⑷ 手 146
⑸ 乳頭と乳輪 147
⑹ 特殊な皮疹について 147
① 四肢体幹の毛孔一致性(汗孔一致性もあるかもしれない)丘疹の評価 147
② 痒疹や貨幣状湿疹の経過 148
③ リング状(白癬様)皮疹 148
④ ビラン性丘疹結節皮膚症様皮疹 149
⑤ 白色皮膚描記症 149
第16章 ステロイド・保湿離脱後、自宅生活上の注意 ……………150
1. 退院後の皮疹悪化 150
2. 退院後の水分調節継続(「第6章 口渇と滲出液対策」を参照のこと) 151
3. 昼型生活を維持すること 152
4. 規則的な食事摂取 154
5. 飲酒やコーヒーはいいか? 154
6. 復職時の勤務時間の制限 155
7. 労働時間による食事時間の調節困難 155
8. いつまでも保湿をしてはいけないのか? 156
9. 温泉 157
第17章 アトピー性皮膚炎は
「皮膚の適応性増殖調節不全症候群」? ……………158
1. 皮膚の適応性増殖調節不全症候群 158
2. 自然治癒の原理 159
第18章 精神神経的問題 ……………160
1. アトピー性皮膚炎患者の精神的不安定性 160
2. 精神と皮膚悪化とのつながり 160
3. いろいろな精神的ストレス 161
4. 離脱失敗に陥りやすい患者や家族の性格 162
5. 難治化アトピー性皮膚炎の増加と精神心理問題 163
6. 患者は精神の内面を表出すべき 164
7. 脱ステロイド・脱保湿時の皮膚悪化と脳幹との関連 164
第19章 脱ステロイドと全身状態との関係 ……………167
1. 脱ステロイドを断念すべき状態 167
⑴ 心不全 167
⑵ 腎不全 168
⑶ その他の臓器不全 168
⑷ 視床下部・下垂体・副腎系の不全 169
2. 合併症への治療が脱ステロイド治療を促進する 169
⑴ 生理不順 169
⑵ 鉄欠乏性貧血 170
3. 脱ステロイド中に症状を悪化させる状態 170
⑴ 感冒 170
⑵ 生理(メンス)と排卵 171
4. 脱ステロイド中に患者を不安にする状態 171
⑴ 体温上昇 171
⑵ アミロイド 171
第20章 民間療法の評価 ……………172
1. プラセボ効果とホーソン効果は否定できない 172
2. サプリメント 172
第21章 アトピービジネス批判 ……………174
1. 何が批判されるべきか 174
2. 脱ステロイドがアトピービジネスを興隆させたか? 175
3. ステロイド皮膚症と診断しない施設での
ステロイド皮膚症の調査 176
⒋ 日本皮膚科学会主流派がステロイド治療に固執する本当の理由 177
第22章 漢 方 ……………181
1. 日本の医薬品として漢方を導入した過程の問題 181
2. 漢方の副作用、偽アルドステロン症 181
3. 漢方がもてはやされる理由 182
4. 漢方の考え方の根本的な欠陥 183
第23章 幼小児の問題 ……………186
1. アトピー性皮膚炎の発症率の変化 186
2. 小児でのステロイドや免疫抑制剤の使用 187
3. 幼小児アトピー性皮膚炎の初診時治療区分 188
⑴ ステロイド未使用 188
① 皮膚の乾燥 188
② 5㎜未満の痂皮のある皮疹 189
③ 5㎜以上の痂皮やビランを伴う皮疹 189
⑵ ステロイド外用中 189
⑶ 過去にステロイドを使用したが、悪化時不使用で保湿剤も不使用 189
⑷ 過去にステロイドを使用したが、悪化時不使用で保湿剤は使用中 190
4. 乳児湿疹、小児乾燥性湿疹とアトピー性皮膚炎との異同について 190
5. 掻破抑制とストレス蓄積 191
6. 家族全員の協力 192
7. 小児の皮疹分類 193
8. 子どもがアトピー性皮膚炎と診断された時にどう受け止めるか 195
9. 乳幼児の食事問題 196
⑴ アレルギー現象は生物反応のごく一部 196
⑵ 免疫グロブリンE(IgE)の検査 196
① IgE-RAST検査 196
② IgE-RIST検査 197
⑶ IgE抗体陽性でもアレルギー現象が起こらないことが圧倒的に多い 197
⑷ 嘔吐・下痢などの消化器症状はアレルギーでないことのほうが多い 199
⑸ 顔が赤くなる理由 199
⑹ 食後に湿疹が悪くなる要因 200
⑺ 離乳食のはじめ方 201
⑻ 蛋白質をたくさん食べさせること 201
10. 母の専業主婦化による子どもへの過干渉 202
11. 抗菌グッズの悪影響 203
12. 掻破予防のお面やガーゼ保護 203
第24章 アトピー性皮膚炎悪化あるいは
改善遅延要因のチェックリスト ……………205
1. 全身に関係のあること 205
2. 環境に関係のあること 207
3. 精神心理に関係のあること 208
4. 皮膚に関係のあること 208
第25章 脱ステロイドに対するさまざまな立場 ……………212
1. 脱ステロイド反対派 212
⑴ A(日本皮膚科学会中枢部の教授など) 212
⑵ B(一般の大学教授など) 215
⑶ C(一般の皮膚科医・小児科医など) 216
⑷ D(若手医師) 217
2. 脱ステロイド放置派 218
⑴ E(真面目直感型医師) 218
⑵ F(真面目客観型医師) 219
3. 脱ステロイド賛成派 219
⑴ G(ステロイド自粛短期使用型医師) 219
⑵ H(受身脱ステロイド派医師) 220
⑶ I(脱ステロイド保湿維持派医師) 221
⑷ J(脱ステロイド脱保湿派医師) 221
第26章 脱ステロイド運動 ……………222
1. アトピー性皮膚炎における脱ステロイド問題の社会的はじまり 222
2. 皮膚科医はステロイド外用剤使用の専門家か? 223
3. 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインの実体 224
4. 皮膚科医の外用好き 226
5. 他疾患でのステロイド使用 226
6. 真実は政治的発言でも臆することなく述べるのが倫理的である 228
7. 脱ステロイド運動の目標 229
⑴ 医療現場の流れ 229
⑵ 日本皮膚科学会側の対応策 230
⑶ 現在の最重要課題 230
第27章 2002-2030実践的「アトピー性皮膚炎」
治療ガイドライン ……………232
1. 本ガイドラインの背景 232
2. アトピー性皮膚炎の定義 233
3. 治療の前提 234
4. アトピー性皮膚炎の治療 235
⑴ ステロイド使用経験のある患者の治療 235
⑵ ステロイド未使用患者の治療(第23章、3.参照) 235
5. アトピー性皮膚炎の基本外用剤など 238
第28章 発疹学(皮疹の記載に関する決めごとを述べたもの) ……………240
1. (一次的に出現する皮疹) 240
斑、丘疹、結節、腫瘤(腫瘍)、嚢腫、水疱、膿疱、膨疹
2. (二次的に出現する皮疹) 242
表皮剥離・掻破痕、糜爛、潰瘍、膿瘍、亀裂、鱗屑、痂皮、胼胝、瘢痕、萎縮、局面、苔癬化
終章 エピローグ ……………244
【用語解説】 ……………247