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子どもの体が危ない! 運動器障害-発見、対応、そして予防まで
柏口新二編著・梅村悟・笠次良爾著
B5並製112ページ
定価2000円+税
ISBN-13:978-4806807315
発売日:2019/10/23
すべての子どもたちがプロ選手やオリンピック選手を目指す必要はなく、多種多様なスポーツの取り組みがあってよいと思います。スポーツで最も大切なことは勝つことではなく、努力や強制でもなく、楽しむことです。音楽や絵画鑑賞などと同じように、スポーツをすることで人生を豊かにすることができます。学校でクラス担任、体育教師、養護教員そして学校医が連携し、スクールトレーナーなどの力を借りながら子どもたちに「身体を動かすことの楽しさ」を伝える真の身体教育を実施していただきたいものです。(本書はじめにから)
柏口 新二(かしわぐち しんじ)
〔編著〕 整形外科医師 1955年生まれ、徳島大学出身。20年間の大学病院勤務、3年間の国立療養所勤務を経て2005年から、野球肘検診と運動器検診を全国に普及させることを目的に、東京厚生年金病院整形外科(現在のJCHO東京新宿メディカルセンター)に異動。子どもの夜間スポーツ外来を開設。定年退職後は再び国立病院機構徳島病院に戻る。地方医療に従事しながら、週の後半は東京、山梨、青森で診療と医療従事者の教育活動を続けている。 専門はスポーツ医学全般で、特に野球肘や筋トレに関心がある。 著書は『子どものスポーツ障害 こう防ぐ、こう治す』(主婦と生活社)や『無刀流整形外科』(日本医事新報社)、『よくわかる野球肘』(全日本病院出版会)シリーズなど。 「運動器の治療はリハビリによる機能改善を優先し、手術は最終手段」がモットー。自らも40年以上筋トレを継続し、選手と一緒にトレーニングしながら治療や競技力強化のアドバイスをしている。
梅村 悟(うめむら さとる)
理学療法士 1975年、東京都台東区生まれ 1999年、東海大学卒業、社会福祉士免許取得。江東区社会福祉協議会勤務 2007年、東京医療学院 理学療法学科夜間部卒、東京厚生年金病院(現JCHO東京新宿メディカルセンター)勤務 2016年より東京明日佳病院に勤務 養護教諭など教職員の集まりで実践講座を精力的に開催、好評を得ている。
笠次 良爾(かさなみ りょうじ)
国立大学法人奈良教育大学教育学部保健体育講座教授。整形外科医師。 1967年生まれ、奈良県立医科大学出身。15年間整形外科医として大学病院や関連病院での勤務後、ケガの予防を学校現場で行なうことを目的として2008年に医局を辞め、奈良教育大学教育学部に赴任し、教員養成に関わる。現在も週2回の外来を続けながら学校現場へ出向き、教員や児童生徒と向き合う日々を続け、10年前からは奈良県で立ち上げた野球肘検診の運営メンバーに。また30年前からトライアスロン競技に関わり、現在は公益社団法人日本トライアスロン連合のメディカル委員会委員長を務める。
目次
はじめに 3
第1章 どうして学校で運動器検診が必要か 柏口 新二 9
1 運動器障害の二極化 10
2 先駆けとなった運動器検診 11
3 運動器検診─何がターゲットか 12
❶どう違う? 外傷と障害 12 ❷運動器検診は障害や疾患を対象に行なうもの 13
4 学校での運動器検診の問題点 13
❶学校では「検診」ではなく、「健診」である 13 ❷運動器は正常、異常の判断が難しい 13 ❸見切り発車の検診実施 14
第2章 学校での運動器検診─その結果と課題─ 笠次 良爾 15
1 運動器検診の結果 16
2 養護教諭の立場からみた運動器検診 17
❶運動器検診実施に際しての課題 17 ❷課題への対策 18
3 運動器検診を教育的側面から考える 19
第3章 子どもの身体的特徴と問題を知る 柏口 新二、梅村 悟 21
1 子どもの骨の構造─骨端は骨の製造工場 22
2 暦年齢ではなく骨年齢で判断 22
❶骨成長について 23 ❷身長はどれくらい伸びるか? 23
3 現代っ子の姿勢と投動作 24 猫背だとボールを投げにくい 24
4 運動能力の低下とその原因 27
❶しゃがめないのは足関節が硬いからか? 28 ❷片脚立ちができないのはバランスの問題か? 29
第4章 成長期に起きやすい外傷と障害 柏口 新二 31
1 痛みを伴う成長はない 32
❶成長痛は身体表現性障害 32 ❷最も効果があるのは「“お母さん”の手」 33
成長痛 Q&A 34
2 成長とともに傷つきやすい部位は変わる 35
3 全身にある骨端と障害 36 成長痛 Q&A 36
4 さまざまな骨端障害とケガ 典型的なもの、誤解されやすいもの 37
子どもの膝痛 37
❶膝伸展機構障害 38 ①分裂膝蓋骨 38 ②ラルセン病 38 ③オスグッド・シュラッター病 39 ❷膝伸展機構障害以外の膝痛 41 ①半月(板)損傷 41 ②膝蓋骨脱臼 44
肘─野球肘 45
❶野球によって生じた肘の外傷・障害の総称 45 ❷成長期の野球肘 45 ①リトルリーグエルボー(上腕骨内側上顆障害) 45 ②最も厄介な上腕骨小頭障害 47
肩─上腕骨近位骨端線障害 49
❶学童期の肩痛では最初に念頭におき、上腕骨の成長障害を起こさないように 49 ❷痛みを無理して投げると成長に影響 49 ❸X線像が修復するまで投球を中止 50
腰、脊椎 51
【腰椎分離症と辷り症】 51
❶発生後治療が遅れると偽関節となり、腰痛の原因になる 51 ❷1回でも腰痛があったときは検査を 51 ❸早期発見&スポーツ活動中止でほぼ治癒 52 ❹反り腰にならないよう運動療法 53 【
腰椎終板障害】 53
❶分離症と同じ割合で起こる腰の骨端障害 53 股関節、骨盤帯 55
【骨盤裂離骨折】 55
【恥骨、坐骨の骨軟骨障害】 55
【股関節周囲が痛むその他の疾患】 57 ①ペルテス病 57 ②大腿骨頭すべり症 57 ③臼蓋形成不全 57 足 58
【踵骨骨端症】 58
❶踵の痛みを主訴とし、学童期の骨軟骨障害で最も発生頻度が高い 58 ❷踵への過度な牽引力が原因 58
【足関節捻挫(外側靱帯損傷)】 60
【足の過剰骨障害】 61
【有痛性外脛骨障害】 61
【三角骨障害】 62
手、手関節 63
【マレット・フィンガー(槌指)=つき指】 63
第5章 障害・外傷が起きたときの応急処置 柏口 新二 65
❶病院へ行くか、様子をみるか 66 ❷緊急時の対応の仕方 66 ❸痛みで困ったときの対応 67 ❹痛みを訴えたら専門医を受診 67 ❺子どもの痛みは大人の3〜5倍くらいに考えてちょうどよい 67 ❻何科に行く? 〜スポーツ外来と一般外来〜 68
応急処置 69 ❶捻挫、打撲、肉離れはRICE療法 69 ◆小・中学生は「あ、れ、やっ、た?」 69
◆受傷日は、マッサージ、お風呂は避ける 70
コラム 湿布の使い方に注意 70
❷かかりつけのクリニックや病院の選び方 71 ①問診で話をよく聞く 72 ②実際に身体を見て、触って診察する 72 ③適切な画像検査を選択する 72 ④診察結果の説明をする 72 ⑤治療方針を具体的かつ明確に説明する 73 ⑥競技復帰まで術後経過を見る 73 ⑦障害発生の背景、生活習慣の確認をする 73 ⑧次回の診察までの期間を調整する 73 ⑨スポーツ現場に顔を出す 74
コラム 魔法のテーピングはない! 74
第6章 学校や家庭でできるボディチェック 梅村 悟 75
1 実態調査からみた現代っ子の実情 76
2 子どもの身体評価─どこを見るか 76
3 運動機能評価─どのように見るか 79
第7章 運動器障害への対応 梅村 悟 83
1 スポーツをしていても身体機能の低下は予防できない 84
2 子どもの身体の発達─いつ何が必要か 84
3 柔軟性の改善─ストレッチの実際 86 ❶学童期の子どもには静的ストレッチ 86 ❷身長の急伸期である高学年でのストレッチ 88
4 固定性の改善─筋トレの取り組み 92
5 動きづくりの取り組み 95
上手になるコツ:外遊びが大切。親子で寄り道散歩、送迎にも一考を 95
6 ウォームアップとクーリングダウン 98 ❶ウォームアップ(準備運動) 98 ❷クーリングダウン(整理運動) 100
7 休養と食事、生活環境について 101
健康づくりの三要素─「運動」「栄養」「休養」 101
第8章 全人的教育としてのスポーツ 柏口 新二 103
1 プレーヤーからトップアスリートまで 104
2 慢性の睡眠負債と対策 105
3 変貌が求められる学校体育 106
あとがき 108