ホーム > 書籍一覧 > 環境問題 > なぜ中国は環境破壊を止められないのか


書名:なぜ中国は環境破壊を止められないのか
著 者:リチャード・スミス
訳 者: 寺本 勉
A5版並製368頁
ISBN-13:9784806807827 C0030
定価3600円+税
発売日:2025年5月30日(予定)
この本は一つの疑問から出発している。つまり、中国共産党が世界で最もひどい警察国家を統治していることを考えると、その指導者たちはどうして、二酸化炭素の排出を含む国有企業からの汚染でさえ、抑え込むことを部下である役人たちに強制できないのか、という疑問である。実際のところ、最近の研究が明らかにしたところでは、発電・鉄鋼・石油精製などの産業の国有企業一社から排出される温室効果ガスは、工業国の排出量全体よりも多いことがわかっている。世界最大の鉄鋼生産企業である中国宝武鋼鉄集団は、世界二四位の排出国であるスペインよりも多くの排出量を記録した。中国石油化工は、世界一一位の排出国であるカナダよりも排出量が多かった。中国石油天然気は、韓国とベトナムを合計したよりも多くを排出していた(日本語版への序文より)
著者 リチャード・スミス(Richard Smith)
1947年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で政治哲学を専攻。大学院ではロバート・ブレナーのもとで、資本主義への移行比較史とマルクス主義理論を学んだ。『Against the Current』『New Left Review』『Monthly Review』『The Ecologist』などに記事を執筆する一方で、クライメート・ジャスティス運動における広範なエコ社会主義者の結集体である「System Change Not Climate Change」の創設メンバーでもある。著書に『Green Capitalism』(2016年、未邦訳)がある。
■訳者 寺本 勉(てらもと つとむ)
1950年生まれ。元高校教員。ATTAC関西グループ事務局員。翻訳書に、區龍宇など『台頭する中国 その強靭性と脆弱性』(2014年、共訳)、ジルベール・アシュカル『アラブ革命の展望を考える 「アラブの春」の後の中東はどこへ?』(2018年、共訳)、ミシェル・レヴィー『エコロジー社会主義 気候破局へのラディカルな挑戦』(2020年)、區龍宇『香港の反乱2019 抵抗運動と中国のゆくえ』(2021年)、王凡西『毛沢東思想論稿 裏切られた中国革命』(2022年、共訳)(いずれも柘植書房新社)など。
訳者はしがき
日本語版への序文
はじめに
序章 「環境ならず者国家」としての中国
第一章 「チャイナ・プライス」 警察国家資本主義と世界的な消費の大加速
第二章 「やみくもな成長」 第一二次五カ年計画による地球破壊の状況
第三章 与えられたダメージ 中国の水・土壌・食料の有毒化
第四章 どんな結末のために地球を熱するのか?
第五章 中国の環境崩壊の原動力
〈コラム〉中国の永久的大躍進政策
〈コラム〉中国的特色のある原始的蓄積
第六章 「関係」と「ゲーム・オブ・スローンズ」 無法体制における富・所有・不安定
第七章 非常ブレーキをかける
〈コラム〉石炭を燃料とする電力で走る高速鉄道はどれだけ「グリーン」なのか?
第八章 次なる中国革命