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アミルカル・カブラル─アフリカ革命のアウラ 高ヒット

アミルカル・カブラル─アフリカ革命のアウラ

編者:石塚正英

著 者:石塚正英・白石顕二

46判上製264ページ

定価2800円+税

ISBN-13:978-4806807254

**電子書籍あり**

 

欧米の現代文明人は、ヌアーに代表されるアフリカの社会状態を指して、野蛮•未開と形容し、その状態から石器・鉄器時代、あるいは農耕社会へ、さらに工業社会へ移行することを善とみなし、歴史とみなし、文化的進歩とみなしてきた。いつまでもその移行をみせないアフリカに対して、固有の文字がない、固有の歴史がない、固有の文化がないと評する。あるいは、発達の遅れたアフリカ社会には階級がない、階級闘争がないとも評する。結論として、アフリカ人に文字を教えて強化せよ、アフリカ社会を工業化し、同時にプロレタリアートを形成せよ、というスローガンが短絡的に出てきた。

白石顕二(一九四六〜二〇〇五)と共著のかたちで紹介するアミルカル・カブラルは、そのような欧米文明人の傲慢なアフリカ救済論を、はなから相手にしていない。ここに収めた白石・石塚のカブラル論には、トゥーガ(外人、ヨーロッパ人)と闘うヌアー的アフリカ民衆のみならず、トゥーガの文化を呑み込んで自らを高めようとする民衆の姿が鮮かに描かれている。(はしがきより 石塚正英)

 

著者

石塚正英(いしづか まさひで) 1949年、新潟県生まれ。 立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学、同研究科哲学専攻論文博士(文学)。 1982年~、立正大学、専修大学、明治大学、中央大学、東京電機大学(専任)歴任。 2008年~、NPO法人頸城野郷土資料室(新潟県知事認証)理事長。 著作 「学問論の構築へ向けて」立正大学学生新聞会編集『立正大学学生新聞』第229-231号、1970年(歴史知と学問論、社会評論社、2007年、所収)、『叛徒と革命―ブランキ・ヴァイトリンク・ノート』イザラ書房、1975年、『フェティシズムの思想圏―ド=ブロス・フォイエルバッハ・マルクス』世界書院、1991年、石塚正英著作選【社会思想史の窓】全6巻、社会評論社、2014-15年、『革命職人ヴァイトリング―コミューンからアソシエーションへ』社会評論社、2016年、『マルクスの「フェティシズム・ノート」を読む―偉大なる、聖なる人間の発見』社会評論社、2018年。

白石顕二(しらいし けんじ) 1946年、茨城県生まれ。東京都立大学法学部卒。アフリカ文化研究者。 著作・翻訳 A・カブラル『アフリカ革命と文化』亜紀書房、1980年、A・キャリニコス/J・ロジャーズ『南部アフリカの階級闘争』柘植書房、1980年、『ザンジバルの娘子軍』冬樹社、1981年、教養文庫、社会思想社、1995年、伊藤正孝共編『アフリカ難民』ほるぷ出版、1984年、『アフリカ直射思考』洋泉社、1985年、シネマクシオン編『ブラック・アフリカの映画』彩流社、1987年、『ポップ・アフリカ』勁草書房、1989年、山本富美子共編『ティンガティンガ―アフリカン・ポップアートの世界』講談社、1990年、山本富美子共編『ジャファリーのアフリカ』講談社、1992年、山本富美子共編『アフリカ・フォイ―リランガの宇宙』講談社、1993年、『アフリカ音楽の想像力』勁草書房、1993年、『ポップ・アフリカ』勁草書房、1989年、『アフリカ映画紀行』柘植書房新社、2000年、アフリカルチャー最前線』柘植書房新社、2006年。

 

【目次】

はしがき 7

序 章 アミルカル・カブラルと現代 11
一 カブラル・カ・ムリ――カブラルは死なず―― 12/二 カブラル以後の、緊迫する世界情勢 14/三 カブラル思想の衝撃 20

第1章 カブラルとアフリカ革命 29
一 「まぎれもない人間」として 30/二 二つの革命――ギニアとポルトガル 33/三 〔ひとりのアフリカ人〕として 37/四 民族解放闘争の組織化 43/五 新しい社会の基盤=解放区 48/六 フラッグ・インディペンデンスをこえて 53/七 解放闘争と文化 57/八 カブラルと我々 61

第2章 〔プロムナード討論〕アミルカル・カブラルのアフリカ革命論 65
〈プロムナード討論1〉 66/〈プロムナード討論2〉 80/〈プロムナード討論3〉 84/〈プロムナード討論4〉 92

第3章 カブラルのデクラッセ論とギニアビサウの現実 101
一 カブラルのデクラッセ論 102/二 ギニアビサウのアフリカ的現実 106/三 デクラッセと革命 113

第4章 カブラルのプチ・ブルジョア論とアフリカ文化 125
一 〔絶対的文化〕の奪回――精神の再アフリカ化 126/二 アフリカのプチ・ブルジョワ政権 131/三 カブラルの革命的プチ・ブルジョワ論 137

第5章 〔精神の再アフリカ化〕を求める抵抗の諸形態 147
一 カブラルは死なず 148/二 カブラルにおける「抵抗」の意味 153/三 アミルカル=カブラル協会のこと 164

第6章 母権と無政府――アフリカ平等主義を考える 169
一 アフリカ平等主義はレトリックか? 170/二 母権的アフリカ社会の問題――民族学者の調査 173/三 無政府的アフリカ社会の問題――社会人類学者の調査 181/四 アフリカの蘇生――それは母権と無政府の復活 186

第7章 ウジャマァ社会主義とクリエンテス資本主義 197
一 アフリカの発展をめぐる二種の主張 198/二 ニエレレのウジャマァ哲学 200/三 ウジャマァ社会主義とクリエンテス資本主義 210/四 シャイン(Schein)としてのウジャマァ哲学 214

補章 1 アフリカ文化とクレオリゼーション 石塚正英 226
1 フレイザーが記録したアフリカ文化 227/2 アフリカン・ディアスポラとクレオリゼーション 229/3 文化の差異に注目するカブラル 232

2 アフリカ直射思考 白石顕二 234
白石顕二について 山本富美子 238

アミルカル・カブラル(一九二四~一九七三年)年譜 241
ポルトガル語圏におけるカブラル研究の新潮流 岸和田仁 254

あとがき 258
初出一覧 260

 

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